検索結果の上位をウェブログが占める理由

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2003年5月16日 2:00am PT


検索結果の上位をウェブログが占める理由
Joanna Glasner


 企業のウェブサイトは、訪問者を増やすには検索エンジンで上位に表示されることが不可欠だと考えている。そのために大枚をはたいて、指定したキーワードで上位に表示してもらえる有料の検索サービスや、上位ランクの確保を指導するコンサルタントと契約する企業も多い。

 一方、熱心なウェブログ運営者の多くは、とくに意図したわけでもないのに、自分のサイトが検索結果の上位に表示されるのを目にしている。検索のキーワードになった事柄について自分がとくに詳しいわけでもない、というケースも多い。

 ウェブログ運営者たちは、検索結果で上位に表示される理由について、更新回数が多く、他のサイトからのリンクが多いからだと説明している。ほとんどの検索エンジンがランキングを決定する際に、この2つの要素を盛り込んでいる。

 「『グーグル』の検索結果で自分のウェブログを目にすることが多くなった」と、マドリッドの自宅からウェブログを配信しているラス・ビーティー氏は話している。

 「とくに意識することなく検索していて自分のウェブログに行き当たったことはないが、数週間前に自分が意見を述べた技術について検索して自分の投稿記事が出てきたことは何度もある」と、ビーティー氏は電子メールで回答した。

 他のウェブサーファーたちも、検索結果からビーティー氏のウェブログに導かれてくる。同氏によると、5月第3週には24時間でグーグルからの来訪が150回以上あったという。検索に使われたキーワードには、「Kim Possible」「Screen Flipper」「Lotus 1,2,3 menu structure for cars」「birthday card special agent」などがあった。

 「『キム・ポッシブル』(米ウォルト・ディズニー社のアニメ)が好きだと書いたのは覚えているが、そのほかは理由がわからない」とビーティー氏。

 ウェブログで、どこかの場所、アイディア、技術にちょっと触れただけで、検索エンジンからの訪問者がどっと増えた例はほかにも多い。

 ミシガン州ランシングに住むスコット・ゴーウェルさんは、自身のウェブログ『シネコー』に地元ショッピングセンターでの出来事を掲載したことから、ビーティー氏と同様の経験をすることになった。記事掲載後しばらくして、ゴーウェルさんが店舗案内を見ようとそのショッピングセンターを検索すると、検索結果のトップに自身のウェブログが表示されたのだ。

 また、ゴーウェルさんがプログラミングのクラスの同級生と『Java 3D』を使ったサウンド機能の実装に関する質問をオンラインに掲載したときも、検索結果の上位にランクされ、他の新米プログラマーから質問の電子メールが殺到した。

 技術系のウェブログ『ラスターウェブ』を発行するピート・プロデール氏は、ある話題に言及したことで検索サイトの上位に掲載され、一時的にサイトへの訪問者が増えることは珍しくないと述べている。プロデール氏が考える、検索エンジンで上位にランクされる秘訣とはズバリ、「まめに更新して、よいコンテンツを提供すること」だ。

 一部のウェブログにとっては、検索エンジンからの訪問者を増やすことは簡単かもしれないが、多くの商用サイトは、自身のビジネスに関連した検索結果で上位に表示してもらうために大変な苦労をしている。

 検索結果での順位向上を支援する米アイプロスペクト社のフレドリック・マーキーニ最高経営責任者(CEO)によると、普通の意味でのライバル企業だけでなく、ウェブにコンテンツを掲載しているすべての人とランキングを競わなくてはならないことを知らない企業が多いという。

 「ウェブはきわめて公平だ。優れたコンテンツは上位に表示される。媒体がウェブログであろうと企業のウェブページであろうと関係ない」

 企業サイトの多くは、内部ページに動的URLを使っているために、検索エンジンからの訪問者を逃している、とマーキーニCEOは指摘する。インデックスを作って検索結果に掲載する検索エンジンの巡回プログラムは、動的URLを拾い上げてくれない。

 それに対して、ウェブログは長いテキストを1つのホームページに掲載することが多いし、内部リンクによるページがあっても少ないため、巡回プログラムによるアクセスが容易になる。

 それでも、基本的なキーワード検索で上位表示を獲得しようとする商用サイトの努力は実を結んでいるようだ。無作為に十数個の一般的な固有名詞で検索してみたところ、上位5位までにウェブログは表示されなかった。

 しかし、一般名詞や企業名に「hate」(嫌い)という言葉を付け加えた検索では、上位にウェブログが表示されることが多かった。たとえば、「hate Microsoft」(マイクロソフト 嫌い)、「hate Britney Spears」(ブリトニー・スピアーズ 嫌い)、「hate liverwurst」(レバーソーセージ 嫌い)で検索すると、ウェブログがとくに多く表示された。

 マーキーニCEOは、「嫌い」というキーワード検索でウェブログが上位にランキングされた理由について、ウェブログが商用サイトよりも感情的でくだけた言葉を使っているからだろうと説明している。

 それに、「商用サイトに導くのに嫌悪感を大いに利用できるとも思えない」とマーキーニCEOは付け加えた。


[日本語版:山本陽一/鎌田真由子]

soho 商法上の話としてにも関係してくるし、情報として。 YH