「ビジョンとは物語のテーマ」「達成」「営業展開」物語;意志
2005年04月15日
2005年04月15日 10時59分
「ビジョンとは物語のテーマ」「達成」「営業展開」物語;意志
【事例】-----
◇財務内容が芳しくなかった企業Xがある。
なんとか、財務指標を好転させたいとの目的で、その対策をコンサルタン
トに依頼した。
◇X社のから依頼を受けたコンサルタントAは、目標設定すれば、
財務内容が好転すると考え業務遂行に関する基準づくりを提案した。
◇Aは、さまざまな基準作りと目標を設定した。
◇さらに、Aは、設定基準をクリアするために、経営者に対して信賞必罰が
必要であると説明し、さまざまな工夫を提案をしていった。できなければ、
他の担当者に対する見せしめも必要であることも提案し、実施していった。
◇このようなサポート体制の中で、Aが設定した目標はほとんどがクリアさ
れるように思えた。
◇しかし、社内の様子はおかしくなりつつある。
開発案件は停滞し、新規顧客の開拓もどうも様子がおかしい。また、顧客
からのクレームが噴出。内容は「自分たちの要望がとおらない。自分たち
は顧客のはず。取引はやめたい。」という。
◇社員は、目標達成に力を注ぎ、上手く回っているように見えるのだが。
◇さて、このX社の対応のどこに問題があったのだろうか。
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■問題点
◇指摘できるのは次のとおりです。
1.現状を分析せず、財務的な指標の表面的な改善を提案し実行した。
【現状分析】
2.顧客満足という最も基本的な企業の存在価値にかかわる問題を検討し
ていない。【経営理念】
3.経営ビジョン、戦略という観点が抜け落ちている。
【ビジョン及び戦略】
4.社員は「上」から言われたことのみを確実に実行し、顧客の声をまっ
たく聞いていない。【経営理念とリーダー】【社員】
5.仮に聞いていたとしても、問題が「経営者」にまであがる体制になっ
ていない。【コミュニケーション】【確認とフォロー】
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■2. 事例解説(3)
◇さて、問題点指摘3.についてです。
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3.経営ビジョン、戦略という観点が抜け落ちている。
【ビジョン及び戦略】
■「ビジョン」とはなにか。
◇前回のメルマガでは、事例企業の問題点のなかで、ビジョンと戦略の欠如
という指摘をしました。
(http://www.cbcon.co.jp/html/merumaga10.htm をご参照下さい)
◇現在のテーマである「経営計画作成」と言う観点から言いますと「ビジョ
ン」の欠如、戦略の欠如は問題です。
◇仮に、金融機関に提出するために作成する場合を考えてみましょう。
金融機関で必要なものは「今後、どのような経営をするのか。」を明確に
すること。また「何が課題で、このようにして克服していきます。」と考
え方を伝えるものでもあります。さらに、活動した結果を確認するための
ものでもあるのです(達成率)
◇経営計画は単なる数字の羅列ではありません。その数字の中に物語がある。
◇今回取り上げるのは、その物語、ビジョンの重要性についてです。
◇いままで「数字の帳尻が合えば。」ということで作っていませんか。
それは違います。また、後日説明することになりますが成果主義もうまく
活用できなくなります。計画通りに達成できなくなる。
◇つまり、企業の業績向上のために欠かせないのが何気なく使っている
「ビジョン」という言葉なのです。
◇「ビジョン」を一言で説明しますとその企業の物語のテーマ。短期的な。
「3年後には売上50億円達成」物語であったり、「5年後には全国への
営業展開」物語であったりということ。
◇つまりビジョンは「企業がある時点までに、こうなっていたいと考える到
達点」を示したもの。
◇少々、硬い話になりますが、今回、この「ビジョン」の考え方を身に付け
ていただきたいと思います。
◇今まで多くの企業の経営計画をみていますと、数字合わせの計画が多いか
らです。これでは、達成することが難しくなります。
◆ビジョンは達成する現実的理想像である。
◇「ビジョン」とは短期的、中期的に達成する理想像なのです。が、ただ、
「それだけ」というものではありません。
◇つまり、ビジョンは達成したい目標。
いま、ここでいう「目標」というのは、現在の状況とのギャップを意図的
に作り出したもの。(だからそこ「理想」)
◇また、すでに発生してしまった問題、課題を解決するときの目標でもあり
ます。(この考え方は事例解説で使っています)
◇前者でいうビジョンでは、将来の目標に対して、意図的に課題を作成して
いますが、後者でいうビジョンは、過去の問題を清算すること。
◇本来であれば「未来に向かわないのではビジョンにならない」そういう感
じですが、企業再生の場合ではこれもビジョンであると私は考えています。
◇それは、強い意思がなければ絶対に解決できない問題であるということ。
もうひとつは、ビジョンの位置づけにあります。
◆ビジョンの位置づけを知る
◇ビジョンは、通常
経営理念→ビジョン→戦略 という位置づけで考えます。
◇経営理念が企業が追い求める理想像や企業の方向性であれば、ビジョンは、
経営理念を達成するための手段。
また、ビジョンは経営戦略達成のための目標。
そして戦略は、ビジョンを達成するための手段という関係です。
◇そのように考えると「ビジョン」とは「経営理念を達成する手段であり、
また、戦略の目標」といえます。
■企業再建で必要なこと
◇さて、ここで、前回解説しました「財務指標」を目標にさぜるを得なくな
る場合として「企業再建」を取り上げました。
◇いままでの説明から解かるように、企業再建というのは、ただ単に、財務
指標を目標として活動するだけでは、満足した結果が得られないというこ
とになります。
◇【経営理念】という追い求めるべき未来像があってこそ満足した結果が得
られるもの。具体的に行動ができるもの。企業価値を損ねるようでは問題。
◇ここに「企業再建」の難しさがあります。資金的な制約がある中で、どの
ように目標を達成していくのか。
◇まずは、資金的な問題を早期に解決させ、次のステップに入らなければな
りません。
◇短期的には、財務指標が重要な目安にはなりますが、経営理念を忘れては
ならないのです。決して。そのためにビジョンがある。
◆「強い」意志。「知恵」。「流れを感じる力」
◇さらに、強い意志。「乗り切るんだ。」という強い意志が欠かせません。
◇強い意思が必要な理由は簡単です。おかれている状況はマイナスから始ま
っているから。しかし、これだけは忘れずにいていただきたい。
このような困難にぶつかっても、それを乗り切ろうとする意思があるから
こそ、自ら掲げた大きな経営理念達成もできる。そして、企業再建は、そ
のための乗り越えるべきひとつの過程でしかありません。
◇「今は苦しい状況にある。けれども、それは、次の10年のときに羽ばた
くための知恵を鍛える試練の場であると考えていただきたい。
◇企業再建のために苦しい状況でも、どんな困難にも
「知恵」と
「強い意志」と
「流れを感じる力」 をもって、掲げた目標達成のため活動するのです。
◇ですから「自分たちは、何年後かに、こうなっていたい。」という明確な
ビジョンがなければ、単なる数字合わせの行動しかできなくなる。
「ビジョンの位置づけ」でお話しましたが、「ビジョン」は戦略の目標。
ビジョンという目標が明確でなければ具体的な解決方法、つまり「戦略」
は出てこない。荒削りの戦略しか出きなくなる。つまり資金捻出のための
戦略になってしまいます。
◇とりまく環境の変化、顧客の声さえ感じられない。
その結果として、事例企業X社の行動は、資金捻出のための活動といわれ
ても仕方がない状況までいってしまいました。
◇変化を感じなければ、時代の流れに乗れません。時代の流れに乗れなければ
勝つための明確なコンセプト足りえない。X社は、ビジョンを持っていなか
ったのです。
【経営理念】については
http://www.cbcon.co.jp/html/merumaga9.htm をご参照下さい
◇ビジョンが明確でないということは、自分たちが考えている未来像とは大き
くかけ離れた企業になってしまうこともあるでしょうし、具体的な行動がで
きなくなるということでもあります。
◇付加価値という概念を忘れて、ただ、単純に粗利だけを追い求める。
コストカットだけに走る。そういう再建策になってしまいます。数字だけの。
◇金融機関の担当者が、ここまで説明してくれればいいのですが、現実には、
そうではありません。
◇「返済できるかどうか」という観点でしか見ない場合が多くなります。
それが仕事ですから、いたし方がないとしましても、
金融機関担当者と話をするときに、経営リーダーが、是非、説明していた
だきたい。
◇「わが社の今後のビジョンとしては」と。
■どうも、企業再建、再生の話しなりますと、かなり力が入ってしまいます。
なにしろ、このメルマガを出そうと思ったきっかけがここにありますので
御容赦を。
■企業再生に関するご質問
kuwabara@cbcon.co.jpまでメールしてみてください。
なんらかのアドバイスができると思います。
■ビジョンの要件
さて、このように考えてきますと、ビジョンには、いつくかの要件がある
事がわかります。
1.トップの強い意志に基づくものであること
2.どんな企業になるのかを明確にしているものであること
(市場での位置、活動する事業領域も含めています)
3.具体的に何を達成するのかという目標となりうること
4.いつまでに達成しなければならないかという達成時期が明確であること
5.自社の経営理念の中間目標であること
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【発行元】 株式会社 中央ビジネスコンサルタンツ
〒104-0031
東京都中央区京橋 2-9-12 日本工築1号館ビル
電話番号:03-3538-7558 FAX番号 :03-3538-7559
【発行責任者】 代表取締役 桑原 彰
【業務】【ご意見・ご感想:業務依頼など】
kuwabara@cbcon.co.jp
★詳しい内容は http://www.cbcon.co.jp/ をご覧下さい。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【編集後記】 こんにちは。桑原です。
今日は、気持ちがよい日ですね。春満喫という陽気でした。
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